SMT Support での改善事例をご紹介いたします。
安全検討を強みとして活動しており、強度計算の依頼を多く対応しております。
基本的に、図面と強度計算を作成する目的、最終的に必要な数値を教えていただければ、
後は丸投げで強度検討を致します。
なるべくご依頼者様には面倒な負担をかけないよう心掛けてサービスを提供しております。
一つ、ご依頼から強度計算書完成までの流れをご紹介いたしますので、現場内、強度の
不安な治具や場所などの強度検討書が必要という方は是非参考にしてください。
ご依頼内容
大型数字看板をのせて吊り上げる吊り具の強度検討をお願いしたと言う依頼です。
現状の仕様でそもそも吊り上げることができるのか、他に適切な材料、サイズが
あるのかを相談したいとのことでした。
これだけ大きな架台になると、おそらくこの作業にしか使用しないため、
なるべくお金を掛けず、なおかつ安全に考慮した設計を求められます。
非常にわかりやすいポンチ絵をいただくことができ、どのように吊りたいのか
簡単に想像することができました。
次項から、どのようにして検討を行ったかを詳細に説明していきます。
対応方法詳細
検討箇所と材料強度
架台の一段目、二段目/架台重量を支える吊り具の3つで検討箇所を分けました。
一気に計算しようとすると考えるのが難しくなるため、私はなるべく細かく
分けて計算するようにしています。
安全率は3に設定し、長い期間使用しない吊り具として安全率を低く設定しました。
安全率を基準とし、SS400の応力、溶接応力関係の値を決定しています。
荷重条件
O、R、E、Z、P、J、Sの巨大文字を吊るのですが、すべてを事細かに計算していると
どうしても検討価格が高額になってしまうため、一番重量のある「O」を吊ったときの
検討を行い、他の文字も吊ることができるという流れで検討を始めました
強度検討
1段目架台
1段目は基本的に両端支持梁の計算を用いて検討を行いました。
長手方向鋼材5本に対し、吊り上げる文字の荷重を分散させ、鋼材1本の中心に
荷重が作用した時に必要な鋼材サイズを選定します。
許容応力とモーメントの関係で許容断面係数を算出し、適正の鋼材を選定しました。
2段目架台
2段目は偏荷重を想定し、架台の中心に荷重が作用するのではなく、ズレた位置での
必要な断面係数を持った鋼材選定を行いました。
今回は、架台の長手方向1辺を4点で吊り上げているところが1点になってしまった場合を
想定し計算を行ったため、安全な鋼材選定をすることができました。
少し、心配しすぎな設定ですが、ご依頼者様の要望にお応えし作成しております。
吊り金具部分の強度検討
最後に吊り金具部分の強度検討を行いました。
吊り金具自体の許容吊り荷重、根元の溶接部に着目した許容吊り荷重を算出し
溶接が剝がれてしまわない吊り荷重を基準として許容吊り荷重を決定しました。
ご依頼者様の声
技術力に対して高い評価をいただくことができました。
依頼者様の社内には強度検討ができる人がいなく困っており、
迅速に強度計算書を作成、修正、訂正を対応したことが高評価につながりました。
計算書を確認するゼネコンの人にもわかりやすいと評価をいただくことができ、
非常にやりがいのある依頼でした。
最後に
今回の依頼は、最初にいただいた手書きの絵があったことで、見積もり前から
ある程度どのように計算したらよいかを構想することができました。
ご依頼者様も今回任された仕事には誇りをもって取り組んでおり、
絶対に失敗したくない一心で様々な質問をしていただき私自身も勉強になりました。
強度計算を行った吊り具を使用した動画を送って頂き、無事吊ることができたことを
自分の目で確かめることができ、良い経験となりました。
「まだ手書きの構想の段階で、強度が問題ないか判断できないか?」などの
図面が出来上がっていない状態でも強度検討をすることは可能ですので、
是非、お気軽にお問合せください!