コラム

ゆるオタのオススメ~千歳ヲチコチ~

千歳ヲチコチ 

D・キッサン(ドクター・キッサン)著書
一迅社 出版
全8巻 完結

あらすじ 

舞台は平安時代 3流貴族の娘「チコ」と上流貴族の息子だけど出世とか結婚にいまいち興味が持てない「とおる」が偶然交わした一つの文がきっかけで二人の世界が変わって行くちょっと風変わりなラブコメ
平安時代の女性は丸顔でまっすぐな黒髪が美人とされていましたが主人公の「チコ」はちょっと釣り目で「秋の色」をした髪を持ち、なにより虫が好きな風変わりなお姫さまでした。
お父上は僻地の統治を任されているような三流貴族。もういい年だと言うのに結婚のけの字もないし、本人も気にしていない。
そんなチコが友人の「なりちゃん」に書いた文が行方不明に、その内容もまた雅とは程遠い物で・・・でもたまたまこの文を拾った「とおる」は普通の人とは違う着目点に惹かれ一度きりの戯れに返歌を返すことに。
今まで歌を褒められたことが無いチコは思いもよらない相手からの返歌に戸惑いつつも心動かされる。だがとおるは一度きりの戯れに送るだけのつもりだったので自分に関する何の手掛かりも残さなかった為チコは返歌の相手を知ることが出来なかった。(この時とおるは自分を女性と偽る)
返歌をくれた相手を返歌の内容から「秋風の君」と呼び、どうにか会ってみたいと思うようになる。
こうして「秋風の君」を探すチコと宮中で内舎人(うどねり)(※警備員みたいな職種)をしているとおるの奇妙な縁が結ばれる。

魅力 

私がこの漫画で一番の魅力は平安時代が舞台なのにバリバリに横文字が使われている所です。
普通漫画で平安時代を舞台とするときは世界観を壊さないようにその時代の言葉や文化を重んじることが多いです。ですが「千歳ヲチコチ」では横文字もネット用語も使い放題でこの時代を生きる人のリアルな暮らしぶりを見ているような気になります。
平安時代が題材だとどうしても雅さや趣さが強調され、いわゆる昔の人の話を読んでいるような、強引な言い方だと神々の世界を見ているような自分とは遠い世界のように感じられます。
ですがこの作品であえて今の私達のような言葉使いをさせることで登場人物達がぐっと身近な存在に感じられるようになるのです。
主人公の「チコ」や「とおる」はこの時代では立派な大人のお姫様と貴族の跡取りですがまだ十代の少年少女でもあるのです。
十代でありながら家の為に「結婚」を考えさせられる二人。まだ心が周りの期待や思惑についていけず、戸惑う。
現在の十代と変わらない多感なお年頃の人間なのです。
そんな年頃の二人のお話だからこそ見ていて面白いのです。
そして何より平安時代の人が使う横文字とのギャップが絶妙に面白い!
今では考えられないような平安時代の常識も(一夫多妻制とか)現代風にかみ砕いて説明してくれるとわかりやすいし、なじみやすいです。
平安時代が舞台だとどうしても学校の勉強みたいで抵抗が有ると言う方こそきっとハマる漫画だと思います。
ちなみに私のオススメキャラは「チコ」の女房(世話や教育をしてくれる側近みたいな人)の「長山」さんです。
貴族の大事な娘さんをどこに出しても恥ずかしくない「お姫様」に教育指導するはずの立場なのにプロレス技掛けたり秘・奥義があったりと何故が武道に長けている「チコ」に負けないくらいの変人なんです。しかも重度の美少年オタクで本人は至って自分は一般人だと言っているが実は登場人物の中で一番ぶっとんでる人。
この「長山」と同僚の「仙河」(チコの乳母 奥様の代わりに赤ちゃんにおっぱいをあげる人だった)の掛け合いがすごく面白いです。

まとめ

私は元々「轟高校 図書委員」という漫画からD・キッサン先生を知ってファンになりました。
D・キッサン先生の作風はとにかくもギャグ。少女漫画とギャグ漫画の間と言った感じでストーリーのテンポが良くてどんどん読み進めたくなる所があります。
少女漫画の部類になると思いますが、男性が読んでも面白い作品だと思います。
平安時代が舞台だとどうしても「源氏物語」のような少女漫画の中の少女漫画というイメージが強く、敬遠してしまう方も居ると思いますが、「千歳ヲチコチ」に関してはあまり少女漫画感強めではないので平安時代漫画の入り口としてお勧めだと思います。

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ブログ設営者の妻 マタニティー、育児、ゆるオタのすすめの記事を更新しております! 趣味はアニメ鑑賞、読書、ゲーム 最近は「あつまれどうぶつの森」が楽しみでしょうがない