1、もやしもん
著者 石川雅之
出版 講談社 イブニングKC
巻数 全13巻
アニメ化・テレビドラマ化された作品
あらすじ
肉眼で菌やウイルスを見ることができ、意思疎通ができる少年。種麹屋の次男坊「沢木(惣右衛門)直保」(さわき そうえもん ただやす)が主人公。
沢木は田舎の幼馴染である結城酒造の跡継ぎ「結城 蛍」(ゆうき けい)と共に祖父の友人である「樹 慶蔵」が教授を務める東京に有る農業大学へと進学し、一年生から「樹ゼミ」に在籍する。
沢木は自分のこの力が何なのか知るために樹ゼミに席を置くが、周りはそんな沢木の能力を(しょうもない)私利私欲に使用しようとし、お人よしの沢木もまたいいように使われてしまうのである。
そんな中ちょっとした事件から樹ゼミで「酒造」をすることになり、酒造の跡取り息子(?)蛍が指揮を取り酒作りが始まる。なのに同じ樹ゼミの先輩院生「武藤 葵」(むとう あおい)が親の決めた婚約者と無理矢理結婚させられて大学も中退することになりそうになるのを阻止するためフランスに渡ったり、この農大ならではの文化祭に四苦八苦したりアメリカ縦断中に放浪中の兄の「直継」(ただつぐ)に会って兄の真の思いを聞くことになったり。授業は大丈夫なのか?と思うくらい全く授業に出ない農業大学ライフを送る物語。
感想
最初は独特な絵のタッチに困惑するけど慣れてくるとむしろそれが良くなってくる。(作者も書き慣れて上手くなっていく)表紙からも内容が全く入ってこない「なにこのキャラ可愛い」ので友人に勧められるまで手に取ることが無かったけど読んでみるとすぐにその虜になってしまいました。
主人公の沢木は肉眼で菌が見えるけどなぜかその菌達は可愛くデフォルメされていて、一番沢木と親交のある麹菌「オリゼー」は誰もが一度は目にしたことがあるキャラではないでしょうか。
正直樹先生のうんちくの部分や菌達による菌講座の部分は飛ばし読みになってしまうけどもそれでも物語にはなんら問題は無いし、ちょっとした豆知識くらいに読む分にはいいのかなと思います。
高校の図書館にこの漫画が置かれていたのですが(私が通っていた高校が農業特化高校だった為)高校生の頃この漫画を読んで「大学生ってこんなに自由なんだぁ。」と間違った大学生の印象を持ったのもいい思い出です。
父にも勧めたところドはまりし、イブニングで連載されていたことから中高年男性向けの作品だと思いますが、高校生女子の私も面白かったので女性にもオススメです。
余談ですが私の義弟がこのもやしもんの舞台である東京の某農業大学生でした。大学では麹菌について研究していたのでリアルもやしもんです。義弟ももやしもん好きです。
2、ばらかもん
著者 ヨシノサツキ
出版 スクエアエニックス ガンガン・オンライン
巻数 全18巻
アニメ化された作品
あらすじ
主人公 「半田 清舟」(はんだ せいしゅう)は有名な書道家である父を持ち、自身も若くしてその才能を認められるが書道の偉い人に「君の字はまるでお手本の用でつまらない、君は平凡を乗り越えようとしたか。」と言われてカッとなり殴ってしまう。
頭を冷やすのと自分の字と向き合う為父が昔お世話になった長崎県・五島列島に居を移すことにする。しかし移り住んだ家は島の悪ガキ達のたまり場にされており、子供たちはその場を明け渡すわけでもなくむしろよそ者に島の洗礼を与える。幼いころから身の回りの事をしてこなかった為に生活力ゼロな上、ずっと都会暮らしだったので島での暮らしに大きなギャップを受けつつも謎のポジティブと島の大人たちの支援でなんやかんや次第に楽しく過ごすようになる。
五島の自然と島の人たちの暖かさに触れて新しい感性を芽吹かせていく青年と子供たちのスローライフコメディ漫画。
感想
主人公の半田は幼いころから周りの期待に応えるべく習字に打ち込み、評価もされた立派な大人ではあるがその反面子供の頃に「子供らしい事」をしてこなかった反動で子供らしい遊びに飢えていたのかなと感じた。だから島の子供たちの事を見下しながらも仲間に入れてもらえると嬉しいしなんやかんや付き合って一緒になって遊んでしまう。子供頃のこういった経験が「個性」を作り、それが無かった半田の字には「個性」が欠けていたのかなと。大人になってから自然の中で学び、遊び、そして自分の個性を見つけて行く姿が見ていて面白かった。
特に物語の山場!という感じの場所は無いけどなんかずっと読んでいられるし、続きが読みたくなる不思議な作品でした。
あと「このもん」食べてみたい。
3、いなりこんこん恋いろは
著者 よしだ もろへ
出版 KADOKAWA ヤングエース
巻数 全10巻
アニメ化された作品
あらすじ
主人公の京都伏見に住む少女「伏見 いなり」(ふしみ いなり)は同級生の「丹波橋 紅司」(たんばばし こうじ)にひそかに思いを寄せるごく普通の女子中学生。ある日お気に入りの伏見神社に寄り道をしていたら怪我をした子狐が川に落ちそうになるのを助ける。そのお礼としてこの神社に祭られている「宇迦之御魂神」(うかのみたましん 以下宇迦)から神通力の一部を譲り受け、なりたい人になれる「変身」の能力を身に着ける。
しかし本来人間が神の力を(一部でも)持つことは禁じられている為神の元締めである「天照大御神」(あまてらすおおみかみ)に目を付けられて「新米神」としての修業を受けることになる。
いなり自身も最初は変身能力を楽しがっていたが幾度も変身しているうちに姿は借りられても自分自身で有ることに変わりは無いし、誰かに成り代わる事は出来ない、自分で居ることを失いたくないと感じるようになり、変身能力を使わずにいられるよう、力を宇迦に返せるように行動するようになる。
神修行、友達付き合い、丹波橋への恋心。神様達との交流が普通の女子中学生いなりを成長させてく物語。
感想
主人公いなりには霊感がある高校生の兄「燈日」(とうか)が居て、昔稲荷神社で神で有る宇迦を目撃した際「幽霊」だと勘違いしそれ以降妹に稲荷神社には近づかないように注意していたのになにやら最近妹の様子がおかしい・・・勘ぐりを入れているうちに宇迦とエンカウント。最初は「神だろうが人間でないもの」に警戒しているものの宇迦の人間染みた行動になんやかんやほだされ好意を持つようになる。
いなりと丹波橋のメインラブもいいけど燈日と宇迦のラブの方が私は夢中になってしまいました。
最終巻で神である宇迦と人間の自分が同じ時を生きるためにした決断に涙・・・
最初アニメを見て漫画を手に取りましたが正直アニメより漫画の方がいい!
よしだ先生はこの作品以外に作品を出されていないのがもったいないくらいストーリーもいいし、なにより絵が綺麗!漫画の表紙のキャラの目の中にいつも和柄が入っているのが本当にツボでカラーももちろん本編も回をこなすごとに磨きがかかる作画にほれぼれしました。
アニメと漫画とでラストが違いますが私は断然漫画派。
最終巻の10巻は涙なしでは見られません。
4、鋼の錬金術師
著者 荒川 弘
出版 スクエアエニックス ガンガンコミックス
巻数 全27巻
アニメ化・アニメ映画化・実写映画化された作品
あらすじ
主人公エドワード・エルリックとアルフォンスは類まれなる頭脳の持ち主であり、「イズミ・カーティス」の下で錬金術師としての訓練を受ける。錬金術師としての基礎を叩き込まれた二人は後に亡き母を蘇らせるための「人体錬成陣」を完成させる。しかしそれは人間の犯してはならぬ領域。「真理の扉」で真理を見せた通行料として兄は左足を弟は体全てを持っていかれた。エドワードは自身の右腕を通行料(代償)にアルフォンスの魂を手近にあった甲冑に定着させることに成功する。
オートメイル(人工四肢)の技師である幼馴染の祖母に右手・左足をオートメイルにしてもらい大の大人が3年かかる定着とリハビリを1年で済ませ国家錬金術師の試験を受けこれに受かる。国家錬金術師の権力を手に入れたエドワードは弟のアルフォンスと共に自分たちの体を取り戻すための方法を探す旅に出る。旅先で出会う錬金術がらみの事件や裏で動く「何者か」の襲撃を受けつつ手がかりである「賢者の石」に着実に近づきつつあったが・・・
感想
正直「鋼の錬金術師」を語り始めると終わらないというのが感想。
なんというか・・・本当に・・すごい・・(語彙力の欠如)
全27巻の大作で有りながらももっと続いて欲しかった。このあたりを掘り下げて欲しかった。
もっと二人の旅を見ていたかったと思わされてしまうような、本当に完結が惜しい作品でした。
でもだらだらと続けることもなく、きっぱりと書くことは書ききった!という作者の荒川さんの姿勢はとても好印象でした。
とある鋼の錬金術師特集番組でコメンテーターの人が「リザとロンマスタングの関係をもっと掘り下げたものを見たかった、なぜそうしなかったのですか?」と質問したところ「物語に関係ないからです。」ときっぱり言い放たれました。たしかにこの二人の関係は私もすごく好きなので「恋仲ではないが最も信頼のおける上司と部下」で終わってしまった後の事も掘り下げて欲しいとは思いますがそれは物語では完璧にサイドストーリーで有って下手したら蛇足と取られてしまうかもしれませんね。
鋼の錬金術師は超人気漫画という事も有ってアニメもかなり力が入ってましたね。
頭がいいだけでは無く体術にも長けていて、ぶっきらぼうな態度のエドは好きにならない女性は居ませんし、頭が良くて優しくて体術もできるアルフォンスをお婿さんにしたい女性も多いでしょう。
何が言いたいかというと、この作品のキャラクターは皆魅力的だという事です。
なぁなぁに生きていない。皆が何かしらの信念が有ってそれを貫き通すために強く生きている姿がとても魅力的です。
女性にも男性にもハマる漫画だと思うので一度は読んで欲しい作品です。
5、銀の匙
4、鋼の錬金術と続いて荒川さんの作品です。
作者 荒川 弘
出版 小学館 週刊少年サンデー
巻数 全15巻
あらすじ
北海道札幌市に住む主人公 「八軒 勇吾」(はちけん ゆうご)は札幌での進学高校への受験に失敗し「心が疲れきってしまったお前にお勧めの学校が有る」と担任の先生に勧められた全寮制の農業高校に進学する。勉強しかしてこなかった今までとは一変して「人間は労働力!家畜様の下僕!」な農業高校での奴隷生活に疲弊しつつも毎日をなんとかこなして生活していた。そして普段何となく口にしていた食材の「生きている姿」を見、世話していく内に命の有難さ、農家の大変さを知っていく。
農業廃棄物・生産性の下がった家畜の塗擦。高校受験に失敗した自分とつい重ねてしまい苦悩する八軒。そして友達の突然の退学と何にも出来ない自分の無力さへの苛立ち。
「誰にも夢を諦めて欲しくない。」一度挫折を味わい、逃げた先で八軒が得た思いが八軒の本当の想い、やりたいことを導いてくれる。
農筋系ラブ?コメディ
感想
私自身が農業系の高校だった事も有りとてものめり込んだ作品です。
作者の荒川さん本人が高校生時代全寮制の農業高校に通う農家の娘さんなので自身の経験が作品にたくさん反映されているようです。
この「銀の匙」が連載される前に荒川さんのご実家でのエピソードエッセイ「百姓貴族」が発行されていてそちらも愛読していたので銀の匙一巻を読んだとき「まってました!」という感じでした。
主人公八軒は普通(?)のサラリーマン家系で育ったごくごく一般的な男の子です。何事にも厳しい父に育てられて重圧もありましたがちゃんとしたものを食べさせてもらっていたので人よりちょっと舌が良く、それゆえに取れたて新鮮な野菜や化学肥料を使わずに育てられた家畜の味にいちいち大げさなリアクションを取ってしまいます。
今まで触れてこなかった「農」について学び、「農」に関わる人たちと関わることで新しい価値観や自分自身を知っていき成長していく若者(はちけん)の姿はとても眩しく、うらやましくも有ります。
今の時代どうしても「勉強」や「成績」が何よりも重視されてしまって若者たち自身の「やりたいこと」が見えにくくなってしまっているように感じます。
本来は「やりたいこと」の為に「知識」と「成績」が付随するべきなのに、目的と手段が反転してしまっています。八軒も最初はそうゆう少年でした。
「なにがしたいのか」という物が無く親に言われるままに「いい学校」に入る為に「勉強」する毎日。八軒にとって心をリフレッシュさせてくれるもの、頭を上げて視野を広くさせてくれるものは「農業」でしたが、それは農業だけでは無く「服裁」「料理」「音楽」「スポーツ」「美容」などで有ると私は思います。なのでそれぞれを取り上げた漫画は見ていて面白いですよね。自分の視野も広げてくれるような気がします。
自分も自分の為に自分のやりたいことを後ろめたく思う事も無く一生懸命できる人間でありたいと思わせてくれるような作品です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
気になった作品は有りましたか?
今回は一気読みができるように完結している作品を紹介しました。
外出自粛中の今だからこそ今まで気になっていた漫画を一気読みすると言うのも良いのではないでしょうか?
一応「男性向け」の作品を集めたつもりですが我が家にまだ紹介していない男性向けで完結している作品があまり無かったので変なラインナップになってしまいました・・・
「漫画を読んでいました」というとなんだか「本を読んでいた」と比べて劣る様に感じますが、私は数々の漫画からいろんなことを学んだので「漫画を読むこと」は悪いことでは全くないと思います。
よく人と話していて「よくそんな事知ってるね。」って言われますが大体「漫画で読んだ。」と返事します。漫画から得られる知識侮れません。
昨今の漫画は下調べがしっかりされていて信憑性も高いですしね、変な情報番組を見るよりはよっぽど有意義ですよ!!